2011年5月8日日曜日

マムシグサ

マムシグサ(サトイモ科)
Arisaema japonicum Blume


先日、平地に近い小高い山に登った時に見つけた。ちょうど季節だったようで至る所で花を見ることができた。ここでは、他にマムシグサに近い仲間のムサシアブミも見ることができた。


ヘビが鎌首をもたげた形の花からついた名か。このヘビの頭のように見えるのは苞と呼ばれるもので、花や花序(花の集まり)の基部にある葉が変形したもの。サトイモ科の花ではこの苞が特に大きく、その形が仏像の背後にある炎をあしらった造形に似ているので「仏炎苞」とよばれている。

仏炎苞の中からのぞいている白い棒状のものは付属体というもので花序の先が伸びたものである。花を見るには仏炎苞を切り開くしかない。開いて写したのが下の写真。

これは雄花だけがついている雄花序。たくさんの雄花が付き花粉を出している。

こちらが雌花だけがついている雌花序。緑の部分が子房で先端の白い部分がめしべの先。
根元に見える黒いものは蚊のような虫の死骸。雄花序から花粉を運んできて雌花序へ入り受粉した後、花序から出られなくて死んだようす。・・・もしかして、虫は花粉を運ぶだけで殺されるのか?

ミツバチの例で見れば分かるように、虫たちは花粉を運ぶ代わりに花粉や花の蜜を食料としてもらう(さらに人間はミツバチが集めて加工した花の蜜を蜂蜜として頂いている)。マムシグサの場合は、そんなギブ・アンド・テイクとはちょっと違うようだ。

古い図鑑ではマムシグサの仲間(テンナンショウ属)は雌雄異株、つまり雄の個体(雄株)と雌の個体(雌株)があるとしているが、最近(そこまで新しくはないか)の研究では、雄雌の別はなく成長の度合いで雄雌が変わる性転換する植物であることが明らかになってきているそうだ。

実際に、この写真に撮ったマムシグサは雌花序をつけた株の方が大きかった。

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