2013年8月16日金曜日

キアゲハ

キアゲハ Papilio machaon Linnaeus, 1758
(アゲハチョウ科 PAPILIONIDAE)
ミツバにつかまるキアゲハの5齢幼虫
 吸い物の薬味にでもなればと山でミツバを掘ってきた庭に植えた。しばらくして見るとミツバは丸坊主、花も食われてる。食べた主を捜すと、まぁ立派なイモムシさんが・・・

 キアゲハの幼虫。ミツバだけでなくセリ科植物を広く食草としている。先日は、耕作されずに水がたまった水田に生えてたセリについていた。同じセリ科のニンジンやパセリも食べるそうなので、農家さんにとっては嫌なチョウかも。以前、庭に植えてたパセリも丸坊主にされて枯れた。その時は食べた主はとうにどっかに行ってしまってたけど、やはりキアゲハだったんだろうな。

 しばらくしたらさなぎになってて、その後無事に羽化した。
羽化後、羽の展開を持つキアゲハ成虫。
残念ながら羽化の瞬間は見れず。羽化しそうな頃合いは毎日確認してたんだけど、ある日の朝、見てみたらもうこの状態。早い時間に羽化したみたい。

2013年8月5日月曜日

ウルシ

ウルシ
Toxicodendron vernicifluum (Stokes) F.A.Barkley
(ウルシ科 ANACARDIACEAE)
ウルシの葉と実。熊本県宇城市豊野で撮影。
 植物の葉というものもいろいろ形がある。桜餅を包む桜の葉のように、ぴら〜んとしたあれで一枚の葉の時もあれば、上の写真のようにたくさんの葉が集まっているように見えてそれが一枚の葉である時もある。前者を単葉(たんよう)といい、後者を複葉(ふくよう)という。身近な環境、例えば平地や低山で見られる樹木のうち、写真のように小さな葉が鳥の羽状に並んで一つの葉になっている羽状複葉(うじょうふくよう)の葉を持つものは、ウルシの仲間であることが多いので、かぶれやすい人は注意した方がよい。例えばハゼとかヤマハゼとか。
 さて、写真の木、見つけた時は、ヤマウルシ Toxicodendron trichocarpum (Miq.) Kuntze かなぁ、と思って見上げていたんだけど、実の表面がツルンとしてて、毛がない。となるとウルシだなぁ・・・と。ウルシは中国辺りの原産で、日本には自生していない。基本的に漆塗りの行われる地域で栽培されている樹木と考えて良いようだ。
 ただ、熊本県では漆塗りの工芸品、いわゆる漆器ってほとんど聞かない。ただ、それでも調べてみると熊本県にも漆器はあったようだ。それは、私たちが漆器と聞いて想像するような芸術的なものではなく、あくまでも生活道具として使われた質素で丈夫なものだったようである。
熊本市南区の富合公民館内の郷土資料展示室収蔵の「榎津塗」
 現在の八代市東陽町の川俣と呼ばれるあたりで生活道具としての漆器が生産されていて、そこから周辺地域に広がっていったらしい。写真は、熊本市南区の富合公民館内にある郷土資料展示室に展示されている「榎津塗」。これも、そういった地域の人々の生活道具としての漆器生産の一つだったのだろう。私なんかは真っ黒で金で花や鳥の蒔絵があるようなものを漆器と思っていたのだが、これは木目を生かすような透明感のある塗りで、蒔絵なんて施されていない。
 写真のウルシは、かつて漆器を塗るための漆を集めるために植えられていた木の子供ではないだろうか。漆は幹の直径が30cmほどにもなるらしいが、この木は私の手首ほどの太さしかない若い木だった。大きく育ってほしいと思うのだが、かぶれやすい人はいやだろうな・・・