2016年6月14日火曜日

クロコノマチョウ

クロコノマチョウ Melanitis phedima oitensis (Matsumura, 1919)
(タテハチョウ科 NYMPHALIDAE)


昨年の秋ぐらいか、腰掛けて庭をボーッと見ていたら、目の前に蝶がとまっているのに気づいた。飛んできて止まるのを見た覚えはないので、ずっとじぃっとしていたのかもしれまい。

図鑑の絵合わせでいくと、クロコマチョウかなぁと。

しかし、本当に動かない。手元にスマホしかなくそれで取ったのだが、ズームなしで画面一杯の大きさになるまで近づいても動かなかった。調子が悪いのか、こちらに気づいてないのか、気づかれてないと信じているのか、はたまた堂々としてるのか、何とも気丈な蝶だった。

羽の色は茶色。やはり枯れ葉や地面に擬態しているのだろうか。擬態のために「動いたら負け」ということだったのかもしれない。

幼虫は、ジュズダマやススキ等のイネ科植物だそうだ。身近な種類なので、クロコノマチョウも身近な存在なのかもしれない。擬態で気づけないかも知れないが。

2016年6月7日火曜日

オジロアシナガゾウムシ

オジロアシナガゾウムシ Mesalcidodes trifidus
(ゾウムシ科 CURCULIONIDAE)


先日、職場の玄関でひっくり返っていてもがいていた。口吻の形でゾウムシと分かる。体長は10mm程度で、ゾウムシとしては大きい方。つまんでみるとかなり硬い。

同僚の指に這わせてiphoneで写真を撮ってみた。まあ、ばっちりとは言わないがよく撮れた。体の表面に複雑な網目のような凹凸があったり、脚にトゲがある様子もよくわかる。

幼虫は植物のクズ(マメ科)を食草としているらしく、この時期クズの葉等でよく見かけられるらしい。この個体は、クズを探して移動中にうっかり落ちてしまったのか?

クズの葉でよく見られるという割に、黒と白の目立つカラーリング。きっと、アレだよねと思ったら、やはり鳥の糞に擬態しているのだろうとのこと。配偶者探しや産卵などの繁殖活動中に見つからないようにするための工夫だろう。前羽の先端、つまり羽を閉じてる時にお尻にくる部分が白いことが「オジロ」の名の由来とされている。

2016年6月3日金曜日

シロダモの若葉

シロダモ Neolitsea sericea (Blume) Koidz. 
(クスノキ科 LAURACEAE)

とうに若葉の季節など過ぎてしまったが、ブログ用に用意しておいた画像がデスクトップにポツンと残されていたので上げてみる。
シロダモの若葉。色は赤く、黄色い毛がある。
常緑樹の代表格とも言えるクスノキ科の樹木たち。例えば、クスノキ、ヤブニッケイ、イヌガシ、そしてシロダモ。いずれも冬のあいだも緑の葉をつけているけれど、一度つけた葉をずーっとつけっぱなしでいるわけではない。春になると若葉が出て、交代で古い葉は落ちてしまう。

春に見られる常緑樹の若葉の中でもとりわけ特徴的なのがシロダモ。シロダモの名は「葉の裏が白いタブノキ」の意味だという説があるが、若葉はそれとはかけ離れた姿をしている。

何より金色。表面に黄褐色で光沢のある毛がびっしりと生えていて、日が当たると金色に光るし、触ってみると柔らかい布の様。はが段々成長していくと葉の地肌の色が見えてくる。この葉の色が実はかなり赤っぽい。まさに葉の赤ちゃんだ。

シロダモは温かい地方の植物と考えられ、照葉樹林内では結構普通に生えている。しかし、それほど大木にはならず、優占種となるほどの群落をつくるものではないようだ。
シロダモの木。
ときどきぽつんと生えている印象。
この木のもう一つの見所は秋、10〜11月ごろ。シロダモの実は、花が咲いた後一年かけて成長し成熟する。なので、開花と結実が同時に見られる。
シロダモの花(黄色)と果実(赤)
花は黄色 、赤い丸が実。シロダモは雌雄異株(オスの木とメスの木が別)。この時期は、花が咲き誇った姿も、実がたくさん成った姿も美しい。

今期は地震で春があっというまに過ぎてしまったが、これからの季節を楽しもう。