シリブカガシ Lithocarpus glaber (Thunb.) Nakai
(ブナ科 FAGACEAE)
秋の観察会で常緑樹の梢で虫が飛び回っているのに気づいた。
花が咲いている。枝の先から細い花穂が何本も出ている。見たところ目立った花びら等はないが、盛んに羽音がしていて、花穂にとまるのも見られた。匂いで呼び寄せているんだろうか。
この樹木はシリブカガシの木。秋にはころっとしたドングリがたくさん実る。それも結構たくさん、ザラザラという感じに。
ドングリ一つひとつでバラバラに落ちているのも見かけるが、シリブカガシの場合は下の写真のように穂についたままの状態で落ちているのもよく見かける。
ドングリの殻斗(一般にはドングリの帽子とか袴とか言われる部分)をはがしてドングリのお尻を見てみるとこんな感じ。
尻が深くくぼんでいるような形をしている。シリブカガシの名は、このドングリの形に由来するものらしい。
せっかくなので花を観察したかったが、なかなか手に届くところに咲いている枝がない。ようやく見つけたが、うまく写真が撮れていない。しまった。
これは雄花のようだ。花は密についていて、細い糸状の雄しべがちろちろと出ている。糸の先は小さく丸く膨らんでいて、これが花粉を作る葯(やく)のようだ。
こちらは雌花。雄花よりも間隔が広く、花の中央からちろっと雌しべが見えている。これがこのあと成長して、コロコロのドングリになるのだなぁ。
植物の果実の生長の観察は、開花期と結実期の間が空いていると説明しにくくなるので、どうしても草本の果実で説明することが多くなる。このシリブカガシは、花は秋、実も秋、つまり秋に開花と結実が同時に見られる種類なので、誰でも知っているドングリという植物で花と実を観察できるいい例だなと思う。
大ヨシノボリ展!
11 時間前
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