2009年5月22日金曜日

ビロードイチゴ



学名:Rubus corchorifolius L.f.

小さな山の開けた日当りのよい薮に生えていました。ちょうど実が熟しているところで、おいしくいただきました。甘みは控えめで酸味もすくなく、さらっと食べやすい味でした。

(写真1)背の高さは1.5m位、枝垂れるような枝振りでした。薮に生えているというより薮を作っているというほうが的確かも。その所々にオレンジ色の実が見えます。

(写真2)葉はヘビイチゴや普段食べるオランダイチゴの三つ葉様ではなく、やや卵形っぽい切れ込みもない葉です。ビロードイチゴの名は枝や葉に柔らかい毛が生えていてビロードのようだからついたものですが、葉はあんまりビロードっぽくはありません。さわるとたしかに産毛が生えているのが分かりますが。写真の上段が表、下段が裏です。葉の裏の脈には鋭いトゲがあります。枝にもトゲがあり、イチゴを積むときは要注意です。

(写真3)一枚の葉の根元付近から細い枝が一本のびて、その先にイチゴが一つついています。イチゴは赤みがかった黄色で、たくさんの小さな水風船が集まったような形をしています。この水風船一つ一つが果実で、その中には甘い汁と種が入っています。

(写真4)種子です。取り出すのが面倒だった。かなり小さい。2mm弱と言ったところでしょうか。表面には網目模様があります。何か機能的な意味があるのかしら。

2009年5月20日水曜日

ヘビイチゴとヤブヘビイチゴ

期せずしてヘビイチゴとヤブヘビイチゴがそろったので、二つを比べっこ。


(写真1、2)まず、植物の大きさが全然違う。ヤブヘビイチゴが大きい!!。葉を比べるとヤブヘビイチゴはヘビイチゴの4〜5倍くらいあるんじゃないかな。次に葉の色。ヘビイチゴは黄緑色だけど、ヤブヘビイチゴは深い緑色。じつは「葉の色なんて環境ですぐ変わる」と思っていました。でも、このヘビイチゴとヤブヘビイチゴは同じ場所に混じって生えてた。となると、環境の違いはあまりない訳で・・・ここまで違うとは!!

(写真3、4)実(正確にはふくれた花床)のおおきさもずいぶん違う。あと色が違う気がする。この色の違いは花床の色のちがいみたい。ヘビイチゴの花床にくらべヤブヘビイチゴの花床は赤みが強い。

(写真5、6)本当の果実(痩果)を見るとはっきりとした違いが。果実の表面が、ヘビイチゴはなんだかゴツゴツしてしわがあるみたいだけど、ヤブヘビイチゴはツルンッとしています。この違いははっきりしてる!!虫眼鏡かルーペがあれば確実に見分けられそう。

ヤブヘビイチゴ




Duchesnea indica (Andrews) Focke

小さな山の道ばたで見つけました。
最初は「えらいでかいヘビイチゴだな」と思ったけど、よくよく見たらヘビイチゴとはちとちがう。

(写真1)ヘビイチゴと違い、えらく元気のいい葉です。基本的な体の作りはヘビイチゴと同じで茎が地面をはい、その所々の節から根と葉を出して根付いています。

(写真2)実も立派で、色鮮やかな気がします。これもヘビイチゴと同様、ツブツブが本当の実(果実)で、大きな丸い部分は花がついていた土台である花床がふくれたものです。

(写真3)果実はこれといって柔らかい部分がある訳ではない痩果で、表面は滑らかです。

実は初めて見ました。いや、覚えていないだけかもしれませんが・・・。

ヘビイチゴ



Duchesnea chrysantha (Zoll. et Moritzi) Miq.

 公園や空き地、庭に生えていて、誰でも目にしたことがある植物じゃないかな。その実をヘビが食べるとか、食べないとか。とりたてて毒がある訳でなし、食べてうまい訳でなし、だそうだ。そう聞くとあえて食べる気もせず、試していない。

(写真1)茎は細くて地面をはっていて、所々から根と葉を出し地面にしがみついています。この状態になると、茎が切れたり枯れたりしても先の部分は枯れず、仲間を増やせるというわけ。がんばるなぁ。葉は小さな葉が三枚集まって一枚の葉を形作っている。黄色い花が咲くけど、ざんねんながら写真を撮れなかった。

(写真2)丸い大きなのが一つの実に見えるけど、実は違うそうな。小さなつぶつぶが一つ一つの実(果実)で、柔らかい部分はなくほとんど種子ばっかりの状態なのでこれを痩果(そうか)と呼びます。「痩(や)せた実」とはよう言うなあ。丸い大きい部分は花がくっついていた花床と呼ばれる部分がふくれたもの。

(写真3)痩果をよ〜くみてみると表面はゴツゴツ、ツブツブ。

身近すぎてあまり見ていなかった。はじめてマジマジ見たかも。

2009年5月8日金曜日

ムサシアブミ


Arisaema ringens (Thunb.) Schott

お〜きくいうと里芋とかコンニャク芋のなかまです。野山で蛇が鎌首をもたげたような花(写真の右下のような花ね)を見かけたら、だいたいこの仲間と考えていいのではなかろうか。この、蛇の鎌首みたいなのは花を包む葉のようなもので仏炎苞といいます。仏様の後ろにあるもの(後光というのでしょうか)にちなんだ名前らしいのですが、ムサシアブミの仏炎苞はあまり神々しくないですね・・・(ちょっとこわいカモ)

ムサシアブミの葉は三つ葉みたいな形です。が、大きくて分厚くて固そうでまずそう。実際、この植物を食べるとは聞いたことないので、多分食べれないのだろう・・・

テンナンショウ属の仲間は、体の大きさで花のオス・メスがきまり、小さいときは雄花だけをつけて、大きくなると雌花をつける様になるときいたことがあります。そのことを思い出して、「しまった、仏炎苞を開いてみればよかった」と反省しきり。