2012年4月25日水曜日

ウミシダの仲間

ウミシダの仲間
Comatuida sp.
(ウミシダ目 COMATUIDA)


 潮の引いた海辺を歩いていたらいましたよ。なんだかもじゃもじゃ。
水面が反射してて分かりにくいけど、濃い紫のやつと、黄色っぽいまだらもようのやつ。
うーん。この手の外観はちょっと苦手。少し鳥肌が立った・・・
岩陰にもじゃもじゃ。
これは植物なのか、動物なのか。実はウミシダという動物です。もっと大きいグループで言うと棘皮動物(きょくひどうぶつ)の中のウミシダ目というグループにはいる生き物。

棘皮動物って???、平たく言うとウニ、ナマコ、ヒトデ、クモヒトデなど。ウニは食べられるので知っている人も多いかな?ナマコも食べられるけど、嫌いな人も多いかな。


足がたくさん。赤の三角():羽枝(うし)、青の三角():巻枝。
さて、一匹広い所に出てきてもらいました。わー腕がたくさん。

青い三角()は巻枝という腕。じつは「巻枝」の読みがわからない。まきえだ?けんし?まきし?とにかく、短いけれど、字のごとく内側に巻くようにまがり、岩に捕まる役割をもつ。

赤い三角()は羽枝(うし)とよばれる腕。腕の両側に細かい枝がたくさん出てて鳥の羽根みたいでしょ。この羽枝がたくさん広がる様子が、見方によっては陸上の植物のシダにも見えるから、ウミシダという名前なのだろう。


巻枝で岩につかまり、羽枝を水中に広げ海中にただようちいさな有機物を集めてたべている。


ウミシダで調べていたら、分かりやすいページがあった。
トピックス■ニッポンウミシダの発生と長期飼育
http://www.zoology.or.jp/news/index.asp?patten_cd=12&page_no=191
やっぱり調べてる人いるんだなぁ
ここに書いてあることから、いくつか「へぇ」とおもったことを。


ウニの生殖巣といわれても分からない人も多いかもしれないけど、ウニの食べる部分といわれると分かるかもしれない。ウニの生殖巣はウニの本体、丸い所につまっている。ではウミシダの生殖巣はどこに?それは羽枝全体に広がっているそうだ。そんな外側に広がった部分に大切な生殖巣をつけて、食べられたりしないのかな?


次は羽枝の数。上記のページはニッポンウミシダについてのものだが、ニッポンウミシダの子どもは羽枝を10本しか持たないが、大人になる40本にもなるそうだ。どうやって増やしているのか。それは分枝再生という方法がとられているそうだ。普通、ヒトデなんかは足が1本切れると1本再生する。つまり、元に戻る。しかし、ニッポンウミシダは羽枝が1本切れると2本再生する。つまり、倍になる。これを繰り返して40本もの羽枝を持つようになるそうだ。それも、たまたま切れたではなく、順番に自分で切って2本再生するようだ。


ウミシダ恐るべし!研究者もスゴい!

ヒトクチタケ

ヒトクチタケ
Cryptoporus volvatus (Peck) Shear.
(多孔菌科 Polyporaceae)


立ち枯れたマツの幹に栗のようなものが・・・
枯れたマツの幹にポツポツとはえる。

枯れて一年程度のマツに生えるキノコ、ヒトクチタケ。
近くに寄ってみると・・・

ヒトクチタケを横から見た。表面はつやつや、ちょっとひび割れ。
 本当に一口で食べれそうな、栗のようなキノコ。表面はつやつやしてて、かたい。
キノコの仲間というけれど、まん丸していてシイタケのような、胞子を作る、傘の裏の部分がない・・・

ヒトクチタケを縦にきったところ。

胞子を作る部分はキノコの内側にある。シイタケの傘の端っこがグ〜っとのびてキノコをまんまるにつつんでしまったような感じだ。

この胞子を作る部分は、シイタケのようなヒダヒダではなく、ごく細い管がぎっしり並んだ、というか、細かな穴がビッシリあいたような形をしている。だから「多孔菌科」なのか。


ヒトクチタケの裏側。根元に穴があいている。あと、ちょろっとしっぽが・・・
こんなに包んでしまって、どこから胞子を出すのよ、というと、裏にひとつだけ穴がある。ここからハラハラと胞子が飛び出すのか・・・なあ?

でも、すっごく臭くて(本には魚の干物のような、とある)、それで虫を集めるらしい。裏側の穴は、胞子を運ぶ虫の出入り口かな?


おお?このヒトクチタケ、しっぽがある!!!このしっぽはなんだ!

枯れ木なんかに生えるキノコって、枯れ木の中に菌糸がいっぱい増えてから、枯れ木の表面に近い所で「もこっ」とキノコが出てくるようなイメージがある。でも、このヒトクチタケは、枯れたマツの中で菌糸が充分に増えたあと、マツの枯れ木のなかの穴を通って表面に伸びてそこからキノコを出すそうだ。

マツの中の穴とは何か?

それは、マツの害虫があけた穴。つまり、マツの害虫がマツの木の中に入り込み、ガリガリと掘り進んだ穴。ヒトクチタケは、マツの害虫が掘り進んで外に出た時に残った穴をとおってキノコを出している。

ただ、マツの害虫とヒトクチタケがどのような関係にあるのか、まだ良く分かっていないらしい。


さて、ヒトクチタケって名前は、一口で食べれそうだから? それとも裏に穴(口)がひとつだけあるから? どっちだろう・・・



2012年4月24日火曜日

ケムシヒザラガイ

ケムシヒザラガイ
Cryptoplax japonica (Pilsbry, 1901)
(ケムシヒザラガイ科 CRYPTOPLACIDAE)


ケムシヒザラガイは、ヒザラガイっぽくないなぁ


これまで紹介したヒザラガイの仲間(多板類)は、ヒザラガイケハダヒザラガイで、その度に貝殻が小さくなってきた。で、今回のケムシヒザラガイ、貝殻がもっと小さくなって、とうとう前後の貝殻が重ならなくなった。幅も小さくなったので、体はほとんど貝殻におおわれていない。それでも前の(写真では下の方)4つ位は近いが5つ目6つ目あたりは離れまくっている。


海の水が引いた時に陸地になる部分(潮間帯、ちょうかんたい)の石の下にいる。石の下にいるので、貝殻でがっちり体をまもる必要はないのかも知れない。それとも、実は素早く動けるとか、とにかくまずいとか、体をまもる別の方法を持っているのかも。写真撮るだけでなく、突っついてみれば良かったな・・・

2012年4月23日月曜日

アミガサダケの仲間

アミガサダケの仲間
Morchella sp.
(アミガサダケ科 MORCHELLACEAE)


近所の土手で見つけた春のキノコ。アミガサダケの仲間。食べられるらしいけど、キノコの仲間だけは怖くてなかなか食べる気にはなれないなぁ。


腐植質(落ち葉などが腐ったもの)が多い土が好きなきのこのなかまだそうな。


二つとも同じ場所でとれたけど、なんだか様子が違うな。アミガサダケの仲間は頭の形と網目の様子で分けるらしいが・・・
アミガサダケの仲間。頭が丸い。頭の網目が不規則。
これは頭は丸く、網目が不規則。なんだか不規則すぎて巧く成長できなかっただけでは?ともおもう。ちょっと古いかな。

アミガサダケの仲間、その2。頭は細長い。
こちらは出てからあまり経ってない感じ。頭は細長いが、帽子状ではない。


なんだろなー。

2012年4月22日日曜日

ツチグリ

ツチグリ
Astraeus hygrometricus Morgan
(ツチグリ科 ASTRAEACEAE)


ツチグリ。ちょっと古いのかな?
美里町の3333段の石段を上っていたら、石段の脇に変な物が。いってみればタコ?まんまる頭に、タコの足のように先が分かれたマントのようなものがついている。


これはキノコの仲間で、ツチグリという。


まんまる頭には胞子がつまっていて、てっぺんに開いたひとつの穴から胞子を飛ばす。


マントは「殻皮(かくひ)」とよばれる。三層になっていて、一番外側は皮のように固い。まん中は膠(にかわ)質で水があると膨らみ、乾くとちぢむ。空気の湿り具合や雨などで、マントはまんまる頭をおおった状態から、写真のように広がるのだろう。一番内側は白というか銀色で、亀の甲ら模様のようなキレツが入る。そして、時間が経つとはがれてくる。写真のマントはほとんど黒いので、古くなってほとんどはがれてしまったのだろうな。


さて、このキノコの発生時期は、図鑑等では「7〜10月」、「夏から秋」などと書かれているけれど、これ3月の写真です。早起きさんなのかな?

2012年4月21日土曜日

フクロフノリ

フクロフノリ
Gloiopeltis furcata
(フノリ科 ENDOCLADIACEAE)


岩につくフクロフノリ。
岩場の海岸にふつうにある海藻の仲間。日本各地に分布しているそうだ。細い体は先が二つ、二つと分かれていく。この海藻をちぎってみると、中は「から」、細い袋(ふくろ)のような感じ。だからフクロフノリ、というのかしらん。


食用にできるらしいので、ちょっとつまんで食べてみたコリッコリッ、という感じ。だけど、取り立てて味はないかなぁ。


図鑑を見ると、「標本にすると、紙にあまり付着しない」とある。海藻の標本は、水に漂わせた海藻を厚紙ですくうというか漉きとるようにして広げてつくる。この時、海藻の成分が糊のような役目をして厚紙に貼付くことがおおい。その貼付き具合も、種類を見分けるヒントにするというのは面白い。

ヒョウモンダコ

ヒョウモンダコ
Hapalochlaena fasciata
(マダコ科 Octopodidae)


岩かげに隠れようとするヒョウモンダコ




先日、海に行ったら小さなかわいいタコがいた。
手のひらに乗るほど小さく、青い模様が鮮やか。ちょっと脅したりすると青い色が、ザワザワと変化する。思わず手に取りたくなる。

だがしかし、これはたぶん警戒色。「俺に触るな!」といっている。だって毒を持ってるのだから。

その毒はテトロドトキシン。ふぐの毒と同じ。ヒョウモンダコにかまれると、このテトロドトキシンを注入され、最悪、死に至る。だから絶対に触ってはいけない。

ただ、このヒョウモンダコは熱帯から亜熱帯という暖かい南の方の生き物。それが2009年あたりから九州の北部でも見つかるようになった。九州の人には見慣れない、そして小さくきれいなタコなので、つい手を伸ばしてしまうかもしれない。よく覚えて触らないように。

今回だけは注意を促す意味で場所を公開。熊本県上天草市大矢野町の野釜島の海岸。2012年4月8日。野釜島はキャンプ場もあるので、遊ぶ人はお気をつけて。


時をほぼ同じくして、ヒョウモンダコのニュースが入ってきた。
同じ上天草市の有明町で捕れたみたいです。
熊本日日新聞「猛毒ヒョウモンダコ、触るな! 県が注意喚起2012年04月11日
http://kumanichi.com/news/local/main/20120411006.shtml