2018年2月11日日曜日

イノコヅチのひっつき虫

イノコヅチAchyranthes bidentata Blume var. japonica Miq.
(ヒユ科 AMARANTHACEAE)

 寒空の中、枯れた草の中に、タネが残っているものに気づいた。

 イノコヅチだ。クモの糸が引っかかっていて、枝によっては細長いクモがじっとはり付いていた。イノコヅチの果実はいわゆる「ひっつき虫」。「ひっつき虫」は、動物の毛や人の衣服にひっついて運ばれる果実や種子のこと。この寒空の中、まだ枝に残っているという事は、動物にひっつく機会がなかったのだろう。

 ひっつき虫といえばオナモミが有名で、毛や衣服に絡み付くのがよく知られているが、このイノコヅチのひっつき虫はあんまり絡みそうな形をしていない気がする。

 よく見ると、黒っぽい果実が5枚のがくに包まれ、その外側には二本のトゲがある。これは、小苞と呼ばれる花の根本につく葉が、トゲ状に変形したもの。このトゲはがくにぴったり寄り添っていて、動物の毛や衣服の繊維を挟み込み、動物にひっつくことができるらしい。