2012年3月25日日曜日

ツクシヤブソテツ

ツクシヤブソテツ
Cyrtomium macrophyllum (Makino) Tagawa var. tukusicola (Tagawa) Tagawa
(オシダ科 DRYOPTERIDACEAE)


ツクシヤブソテツ。写真がちょっとくらいなぁ。
あんまり見かけないヤブソテツだな〜と思いながらしらべてみた。
  • 羽片(小さな葉のような部分)が幅広い
  • 羽片が10対程度と少ない
  • 羽片の根元がくさび形
なので、ツクシヤブソテツだろうな、と。

この仲間は、標本にしやすくってついつい採集してしまって、同じ種類ばかり集まってしまう(とはいえ、いろんな場所、いろんな時なので無意味ではないのだが)。

新しく種類が追加できたのでうれしい。かなり昔に採集記録があったので新産地ではないが、現代の記録ということでちゃんとした施設(といっても職場だけど)に寄贈しよう。

2012年3月24日土曜日

エビネ

エビネ
Calanthe discolor Lindl.
(ラン科 ORCHIDACEAE)


たぶんエビネ。
たぶんふつーのエビネ。思いかけず出会ったので、ちょっと驚いた。


この仲間も山野草ブームだか園芸ブームだかでずいぶん盗掘され、数を減らしたそうだ。一生懸命増やして野生に戻しているグループもあるそうだ。


とりあえず、春が楽しみ。

2012年3月23日金曜日

ハマナツメ

ハマナツメ
Paliurus ramosissimus (Lour.) Poir.
(クロウメモドキ科 RHAMNACEAE)
ハマナツメの葉。たまご型〜ハート形、三つの脈、葉の付け根のトゲ、が特徴。


暖かい地方の海岸に生える植物で、本州、四国、九州、沖縄等に分布する。ドライフルーツのナツメ(干し棗)と同じクロウメモドキ科だけど、食べられるような実はならない。


この植物は意外と少なく、熊本県では絶滅危惧II類に指定されている。
<参考>
改訂・熊本県の保護上重要な野生動植物-レッドデータブックくまもと2009-
http://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/44/rdb2009.html
上のページはpdfが掲載されているだけで、検索がほぼ不可能なので、以下もどうぞ。
植物(維管束)その7 [PDFファイル/501KB] 
http://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/26053.pdf


というのも、この植物は、生える場所は海岸、種も海の水に運ばれる。なので、護岸や堤防どんどんつくられ、自然の海岸がつぎつぎに失われている現在は、生えるところ減り、種が行き着く新天地もなかなか見つからない状態なのである。


海岸の自然も大切にしたいですね。

2012年3月22日木曜日

ニホンザル

ニホンザル
Macaca fuscata (Blyth, 1875)
(オナガザル科 CERCOPITHECIDAE)


ニホンザル。車が結構通る道路沿いでもへっちゃら。
正直、哺乳類は詳しくない。野生のニホンザルも初めてまともに見た。群れでキーキー言いながら行動しているのって、正直怖い、と思った。この前イノシシに遭遇した時もびびった。たぶん、意思疎通できそうでできなさそうな相手が怖いんだな(人間と同じで)。う〜ん、哺乳類の研究には向かないな、自分。


群れの動きや行動パターンをじっくり観察して、何をしているかをよく考え、理解しようとすると、そうそう怖いことはないんだろうけど、動物相手だと感情が先に立っちゃうんだよね〜。科学を学んだ者にあるまじき!って感じだ。


さて、このニホンザルの群れ(写真に写ったもの以外にもいっぱいいた)、道路沿いのワイヤー製のガードレールの上に座って何やらモグモグ。どうやらカナムグラの雌花穂を食べていた様子。カナムグラってビールを造る時にいれるホップに近い仲間で、その雌花穂もホップみたいなゴワゴワモコモコなんだだけど、栄養あるのかな?おいしいのかな?


ニホンザルで思い出したが、以前住んだことのある和歌山県では、ニホンザルと近縁でもともと日本には生息していないタイワンザルが入り込み、交雑をしているという問題を起こしている(いた?)。


ちょっとググっても新しい情報が上がってこないな。今、どうなっているのかな?



2012年3月21日水曜日

ムクロジ

ムクロジ
Sapindus mukorossi Gaertn.
(SAPINDACEAE ムクロジ科)


ムクロジの葉。木が高くてうまく撮影できない。
以前も書いたけど、ムクロジ。黒い種子を羽根つきの羽根の頭にしたり、果肉を石けん代わりやシャボン玉にしたり、と利用される。けど、あんまり多くはない、と以前は書いた。


確かに多くはないけど、どこそこあるなー。けどやっぱり、神社の近くとか、人里近くとかにあって、人が植えたものとか、そこからたまたま種が転がって、というのが多いのかもしれない。


小さな葉が左右に並ぶ「偶数羽状複葉」という形の葉が好きでねぇ。一度バシッと標本作りたいけど、高くて手が届かない・・・


高くて遠いなぁ。

2012年3月20日火曜日

シャシャンボ

シャシャンボ
Vaccinium bracteatum Thunb.
(ERICACEAE ツツジ科)


秋から冬にかけて、低い山で見ることのできるこの木の実、知ってますか?
シャシャンボの実。この木はかなり身近な木。


ちょっとアップ!
実のアップ画像。とは言っても上の画像を拡大しただけですが。
どうです?なんか見たことあるでしょ?何に似てる?


ブルーベリーそっくりでしょ?それもそのはず、ブルーベリーと同じツツジ科スノキ属のシャシャンボという木で、実の形もそっくりです。ただ、小さい。ブルーベリーは大きいものだと直径1cmくらいあるけど、シャシャンボの実は直径6mmくらいかなぁ。


味は?うーん、さすがに栽培されたブルーベリーほど甘くはないけど、“よく熟したものであれば”甘酸っぱい味で、“私的には”おいしい。お年を召した方とお話しすると、「子どもの頃よく食べた」などとおっしゃいます。でも、今時の子どもは「おいしい」と思うのかな?


このシャシャンボは暖かい地方の林に生える木なので、熊本市に住んでいる人にとってはとても身近な木。熊本市周辺の小高い山に行けば見つけることができるのではないでしょうか。ただし、実が鈴なりとは限りませんが。

2012年3月18日日曜日

ツルナ

ツルナ
Tetragonia tetragonoides (Pall.) Kuntze
(AIZOACEAE ツルナ科)


冬のツルナ。枯れてしまいそうです。
私の好きな植物。ツルナ。海岸に行くと必ず探してしまう。季節は冬。葉も黄色くなってしまってる。多年草なので枯れちゃうことはないのだろうけど。


さて、暑い盛りは黄色の花を探すのだけど、花はない。代わりに・・・
ツルナの実。
実がなっていた。ほーこんな実がなるのね。で、何となく実だけ持って帰っていたんだけど、ほったらかしていた。おかげで黒っぽく枯れちゃった。
ツルナの実。直径1cmくらい。意外と軽い。
これ、意外に軽くて、外側はフワフワしている。水には浮く。それをむしると、中にとっても固い部分がある。爪を立ててもわれないし、トゲのようなところもあって痛いのでナイフで切ってみた。
ツルナの果実の断面図。白い部分が種子。
もっと柔らかいうちに切れば良かったかな?なんだかぼろぼろになった。白い部分が種子。いくつも入っているようだ。軽い果実で波に流され、広がって行くのかな。

2012年3月16日金曜日

サイヨウシャジン

サイヨウシャジン
Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. triphylla
(CAMPANULACEAE キキョウ科)
サイヨウシャジンの花。五つに分かれた先が緑色できれい。
この植物は、熊本では阿蘇の草原でよく見る。だから、職場の近くでこの花を見つけた時はちょっと驚いた。


釣り鐘型の花から長いおしべが出ている様はなかなか風流。

2012年3月15日木曜日

スミレモ

スミレモ
Trentepohlia aurea
スミレモ科 TRENTEPOHLIACEAE
コンクリート面に生えるスミレモ


観察会のルートで参加者が変な生き物を見つけた。コンクリートの面に生えている赤茶色というか鉄さび色のふわふわしたもの。コケでもない、カビでもない・・・と話して、その時は分からずじまいだった・・・


スミレモ拡大図。レンズが汚れてて、まん中がボケています・・・すみません。
これはスミレモといって、「も(藻)」のなかま。藻は、マリモとか、アオミドロとか、クンショウモとか、ワカメとか、いずれも水の中の生き物。でも、このスミレモは、地面に垂直に立ったコンクリートの面についてる・・・このような水から出て生活している藻の仲間を「気生藻」というそうだ。


緑色植物門という、その名の通り緑色の植物のグループに入るのだが、前述のように赤さび色をしている。これはヘマトクロームという赤色の色素を持っているため。


なんだか、頑張ってる感じがいい!!

2012年2月24日金曜日

ベニツチカメムシ

ベニツチカメムシ
Parastrachia japonensis (Scott)
(ツチカメムシ科 CYDNIDAE)
集団越冬するベニツチカメムシ
 冬の山を歩いていると、黒々というか赤々と言うかなんだか目立つ固まりに出会うことがある。よく見ると赤と黒の派手な色をしたカメムシが集まっている。ベニツチカメムシの集団越冬といわれている。


 ただ、本当に越冬なのかな? というのは、さして日当りも良くなくて、樹木等遮るところもないような、まさに吹きさらしの「そこじゃ寒いだろ」というようなところで、宙ぶらりんで集まってたりするから。


ベニツチカメムシに似ているカメムシの集団
 別のところでは、ガガイモの葉のかげに集まるベニツチカメムシに似たカメムシを発見。色がオレンジっぽいし、胸部の黒い点が左右二つに分かれている。やっぱりベニツチカメムシの仲間なのかな。

2012年2月23日木曜日

アオツヅラフジ

アオツヅラフジ
Cocculus trilobus (Thunb.) DC.
(MENISPERMACEAE ツヅラフジ科)
アオツヅラフジの果実と種子
 アオツヅラフジはつる植物で、かなり身近な植物。海辺と言ってもいいほどの低いところから、山地まで普通にある。つる植物なので他の植物などにからみついて上にのぼる。身近なところでは手入れの悪い(失礼!)生け垣などにもよくからまっている。秋に黒く丸い果実が小さなぶどうのようにあつまってなる。これをつぶすと種子が出てくる。


 この種子が何ともかわった形。まるまったヨトウムシの幼虫というか・・・この形のことは本で読んで知っていたけど、初めて実をつぶした時には、やはりギョッとした。緑っぽい実の汁といっしょに飛び出してくるんだもん・・・


 イモムシはあんまりなので、アンモナイトということにしよう。

2012年2月5日日曜日

カヤネズミの巣

A Nest of Micromys minutus
(ネズミ科 Muridae)
カヤネズミの巣。もう子育ても終わり空き家だそうだ。


冬の水辺の観察会で見つけました。カヤネズミの巣。
もう出産子育ても終わり空き家だそうなので、みんなで壊さないようにさわってみた。植物を細かく咲いたもので編んであり、フワフワとしてます。さすが哺乳類、といったところか。


カヤネズミは、ススキ、オギ、チガヤ、ヨシなどの、いわゆる昔から「茅(かや)」と呼ばれているような植物が生えような、休耕田、河川敷、草原などにすんでいるネズミの仲間。日本一小さいネズミらしい。じつはまだ見たことない。


この場所は、市街地にほど近いのだけど、昔から洪水が多かったためその対策としてつくられた遊水地。そのため、茅がある程度のこり、カヤネズミもすめるのだろう。


カヤネズミに興味を持った方は以下のリンクもどうぞ
全国カヤネズミ・ネットワーク

2012年1月21日土曜日

冬の道端で

ふと、いいにおいがした。
見上げるとロウバイ。
葉が落ちきってしまう前に花が咲いたようだ。でも、こんなに大きくなるものか。樹高5mくらいか。
立派だなぁ

2012年1月19日木曜日

スパルティナ?

スパルティナ属の一種
Spartina sp.
(POACEAE イネ科)
スパルティナ・アルテルニフロラか?
動向を注意しなければ
 大きな被害をもたらすかも、と予想されているイネ科のスパルティナ属植物。中でもスパルティナ・アングリカSpartina anglica世界の侵略的外来種・ワースト100にも選ばれ、外来生物法特定外来生物に指定されている。特定外来生物の飼養、栽培、保管、運搬、輸入などが規制されていて、違反すると懲役か罰金です。


 さて、この植物、河口に生えていた。季節は冬に近く、花穂もほとんど残ってなくて何とも種類が分からないんだけど、スパルティナ属の植物ではないか、と。ただ、スパルティナ・アングリカではない気がする。もしかしたらスパルティナ・アルテルニフロラSpartina alterniflora(ヒガタヨシと呼ばれることもある)かも。良い時期に観察しないとね。


 スパルティナ・アングリカがかなり侵略的なので、他のスパルティナ属植物も警戒されている。スパルティナ・アルテルニフロラは愛知県にはいりこんだようで、その対策が行われているようす(リンク)。この植物が、もしスパルティナ・アルテルニフロラであるならば、動向を良く見ておかんとね。