2012年3月30日金曜日

スガイとカイゴロモ

スガイ
Turbo (Lunella) coreensis (Récluz, 1853)
(サザエ科 TURBINIDAE)


カイゴロモ
Cladophora conchopheria Sakai
(シオグサ科 CLADOPHORACEAE)


みどりの丸いものが、カイゴロモ(藻類)におおわれたスガイ。


 写真には、緑の藻(も)におおわれた丸い貝が8つ写っています。分かるかな?この貝はサザエ科のスガイという、直径2cmくらいの小さな巻貝。岩場の海岸に行くと必ずと言っていいほど見る事ができる。


 熊本では「びな」と呼んでいて、子どもの頃は持って帰って、親に湯がいてもらって食べていた。でも、小さな貝なので、ご飯のおかずというよりは子どものおやつか酒の肴といったところ。


 さて、この貝の表面をおおっている緑の藻は、カイゴロモという海藻。名前の通り、「貝の衣(ころも)」のように貝殻をおおってしまう。しかも、このカイゴロモは、スガイの貝殻にしか生えないという変わり者。磯には同じような巻貝が何種類もいるのに、スガイにしか生えない。こういうのを難しくは「基質特異性」というが、まあいいか。貝殻の表面に「これはスガイだ」と分かる何かがあるのだろうか。


 カイゴロモは、スガイの貝殻にへばりついているのではなく、根(正しくは仮根)を殻に食い込ませている。だからぺりぺりとはげるものでもなく、削り取るのもむずかしい。そこまでして互いに(いや一方的に?)ぴったりひっつくのはなぜだろう?


 スガイは、カイゴロモが生える事で外敵から見つかりにくくなるのかもしれない?カイゴロモは、スガイが動き回ることで他の海藻と競争することなく、いつも日の当たる所にいることができるのかもしれない?何かしら、自然の中を生き残るのに有利なことがあるのだろう。

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