2011年12月28日水曜日

キイレツチトリモチ

キイレツチトリモチ
Balanophora tobiracola Makino
(BALANOPHORACEAE ツチトリモチ科)
枯れ葉の間から顔を出すキイレツチトリモチ


 ツチトリモチの記事をアップしてから「そういえば前にこの仲間写真撮ったよな〜」と探してたらでてきたでてきた。キイレツチトリモチ。「キイレ」は鹿児島県の喜入町のことで、最初に見つかった場所だそうだ。


 ツチトリモチは実は雄花が見つかっていないそうだが、このキイレツチトリモチは雄花があるそうだ・・・ってどれだ?花びらが三つあってすぐ分かるらしいのだが、まだ蕾の状態で開いてないようだ。丸いぷつぷつがそうなのかなぁ


 こいつも寄生植物でトベラやシャリンバイの根に寄生する。トベラやシャリンバイは海岸近くに生える植物なので、キイレツチトリモチも海岸近くの森林等に生える。


 寄生植物は葉緑素を持たず他人から栄養をもらう。だから、種が芽を出したとき大変だろうな。発芽してすぐに、うまく宿主(キイレツチトリモチの場合、トベラやシャリンバイ)の根に出会わないと枯れてしまうのだろう。

2011年12月27日火曜日

ヘツカニガキ

<冬芽2011年12月(5)>
ヘツカニガキ 
Sinoadina racemosa (Siebold et Zucc.) Ridsdale 
(RUBIACEAE アカネ科)
ヘツカニガキの冬芽。
 ヘツカニガキの冬芽。枝の先がふくれて、冬芽は隠れているのかな。坊主頭だ・・・


 暖かいところの植物で、日本では九州や四国の南部に生えている。ヘツカニガキの「ヘツカ」は鹿児島県の「辺塚」のこと。

2011年12月23日金曜日

ヤマハゼ

<冬芽2011年12月(4)>
ヤマハゼ
Toxicodendron sylvestre (Siebold et Zucc.) Kuntze

(ANACARDIACEAE ウルシ科)
ヤマハゼの冬芽。ハゼノキと違い、毛深い。
 こちらはハゼノキと同じウルシ科のヤマハゼ。枝を引っ張って写真を撮ったので斜めだ。ハゼノキはと違って毛深い。夏、葉が開いているときは、「ハゼかなぁ〜ヤマハゼかな〜」とかいいながら葉をさわって、「毛があったらヤマハゼ!」とかしていた。冬芽は一目瞭然だなぁ!!と感激。


 葉をさわっていると、周りの人からは「かぶれないの!?」って驚かれたりした。確かにハゼノキやヤマハゼの木の下を通るだけでかぶれる人もいるので、お勧めできる見分け法ではないな。


 葉が落ちてしまった冬芽の時期は比較的かぶれにくいらしいので、双眼鏡等を使って遠くから確認すれば、葉をさわるよりは安全に見分けができるかも。でも、敏感な人は近づかないに限ります。

2011年12月22日木曜日

ハゼノキ

<冬芽2011年12月(3)>
ハゼノキ
Toxicodendron succedaneum (L.) Kuntze
(ANACARDIACEAE ウルシ科)


ハゼノキの冬芽。毛はほとんどなくつややかな感じ。
ハゼといえば「かぶれる」と言うことから悪者的に警戒しがちだけど、かつては和ろうそくの原料として植えられ、重要な産業を支える植物として扱われていたそうな。


水滴型というか円錐型というか、やや崩れた感じのかたち。芽鱗は毛もなくスルンとした表面。葉痕はやや横に広い三角形という感じ。


よく似たヤマハゼの冬芽は毛がある。

2011年12月21日水曜日

コナラ

<冬芽2011年12月(2)>
コナラ
Quercus serrata Murray
(FAGACEAE ブナ科)
コナラの冬芽。芽鱗の色と縁取りがきれい。
コナラの冬芽はとても綺麗。やや長いたまご型〜しずく型の冬芽が枝先にあつまる。冬芽は上から見ると五角形をしていて、その角にそって芽鱗(がりん)がピシッとならぶ。
枝の表面にはややおおきな皮目がある。



2011年12月20日火曜日

クヌギ

<冬芽2011年12月(1)>
クヌギ
Quercus acutissima Carruth. 
(FAGACEAE ブナ科)


冬芽(ふゆめ)。
クヌギの冬芽。しずく型で白い毛が生える。


冬芽の観察をテーマにした行事があったので、その準備や本番のときの写真をこれからいくつかご紹介。


(冬芽の基本)
 冬芽(ふゆめ)は「とうが」とも読むことがあるらしいけど、「ふゆめ」のほうが一般に分かりやすい気がする。冬芽は枝の先や、枝の途中の葉がついていたところのわきなどにつく。だから冬芽のすぐ下には葉がついていたあとである葉痕(ようこん)がある。
 冬芽の中には、春暖かくなってからひらく葉や花が小さく折り畳まれて入っている。そのまわりを魚のうろこのような小さな葉が包んでいる。この小さな葉は芽鱗(がりん)という。植物の種類によっては芽鱗がない冬芽もあり、その場合は「裸(はだか)の冬芽」という意味で裸芽(らが)とよぶ。


この冬芽はクヌギ。カブトムシやクワガタが好きなブナ科の樹木。冬芽の形はしずく型、たくさんの芽鱗がつつんでいる。芽鱗はふちに白い毛があるので、冬芽全体はなんとなくモコッとした感じ。


枝にポツポツある白い点は皮目(ひもく)と呼ばれるもの。形、大きさ、多さなどで樹木の種類を調べるヒントにする。

2011年12月18日日曜日

ツチトリモチ

ツチトリモチ
Balanophora japonica Makino
(BALANOPHORACEAE ツチトリモチ科)
地面に顔をのぞかせるツチトリモチ
 海辺に近い山を歩いていてハッと気づいた。実物をみたのはこれが初めて。


 地下にあるこの植物の根茎から鳥黐(とりもち)をつくったので「土鳥黐」。とりもちはべたべたとい粘着力が強いもので、かつてはとりもちを石や枝に塗り、そこに止まった鳥がひっついて飛べなくなったところを捕獲する猟が行われていた。しかし、現在はとりもちを使った猟は禁止されており、とりもちも禁止猟具とされている。


 とりもちの材料には、このツチトリモチの仲間の他、モチノキの仲間の樹皮も使われたそう。一度作って見たいものだ。使ったらダメだけど。
掘り出したツチトリモチ。地下部は意外と大きい。
 掘り出してみると花が集まった赤い部分はボーンと大きく、他は白っぽい。葉も小さい。この植物は寄生植物。クロキやハイノキの仲間の根に寄生するそうだ。上の写真の白い矢印で示した根が寄生された植物(多分クロキ)の根。寄生された先が大きくなってそこからツチトリモチが出ている。脇にいくつも花が出た後のようなふくらみがあるので、毎年、一本ずつ花茎を出しているのかもしれない。


 初めて見る植物は興奮するね。

2011年12月14日水曜日

マルバルコウ

マルバルコウ
Ipomoea coccinea L.
(CONVOLVULACEAE ヒルガオ科)


休耕地をおおいつくすように生えるつる植物。ところどころにオレンジの花がさいている。
休耕地をおおうマルバルコウ
オレンジの花はこんな感じ。
マルバルコウの花
ヒルガオ科、つまりはアサガオのなかまなんだけど、マルバルコウの花は五角形。なかなかしゃれている。このおしゃれなマルバルコウ、実は熱帯アメリカ原産の外来生物。1850年頃に園芸目的で日本に持ち込まれたそうだ。花は小さくてかわいいけど、こんだけはびこるのは家庭で育てたりするのは大変じゃないか?


そのうち逃げ出して野生化してしまって、今では空き地だけではなく畑にもはえるようになっている。かわいがられるはずだったのに、いつのまにか「問題雑草」と呼ばれて駆除されるはめになっている。Google scholarでマルバルコウを検索すると、問題雑草としての研究論文がかわいそうなくらいゾロゾロでてくる


外来生物をどのように考えるか、難しいですね。

2011年11月22日火曜日

ろうそくでもつくってみようかな。

ハゼといえば、かぶれる!って連想するけど、かつては和蝋燭の原料として大切にされた。ろうそく作りに挑戦してみよう。


2011年11月16日水曜日

たそがれてる?

ススキの穂の上でじっとしてるヒメクダマキモドキ。寒さで動けないのか、触れても動かない。秋も終わりに近づいたのかな。


2011年11月8日火曜日

ツルジンジソウ

<2011南阿蘇外輪山で見た植物_9>
ツルジンジソウ
Saxifraga cortusifolia Siebold et Zucc. var. stolonifera (Makino) Koidz.
(ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE)
ツルジンジソウの花。花びらは、丸くて小さな3まいと長い2まいのぜんぶで5まい。
 ちょっとかわった形の花は、形のちがう花びらがでできている。小さくて丸い3まいと長い2まいの花びらがくみ合わさって、まるで人の形のよう。イタズラしようとしている森のこびとかな?森のいのちとよりそう妖精(ようせい)かな?


 ジンジソウににていて、九州にしかないとされている。めずらしい?

2011年11月7日月曜日

ギンリョウソウモドキ

<2011南阿蘇外輪山で見た植物_8>
ギンリョウソウモドキ
Monotropa uniflora L.
(シャクジョウソウ科 MONOTROPACEAE)
開花中のギンリョウソウモドキ。もう花の時期も終わりかけ。


 植物は「葉緑素(ようりょくそ)」というものをもつため、みどり色をしている。この葉緑素が日の光からえいようを作っている。


 さて、このギンリョウソウモドキはまっ白。つまり、葉緑素がない。だから、日の光からえいようを作れない。ではどうしているか。根で菌(きん)と共生(きょうせい)していて、菌がまわりのおち葉などを分解(ぶんかいして)えいようを取り出し、それをもらって生きているといわれている。

 春にさくギンリョウソウという植物があり、それににているので「ギンリョウソウモドキ」。「モドキ」とは、「にてるけどちがう」ということなので、ちょっとかわいそうな名前だな。秋に花がさくので「アキノギンリョウソウ」という別名もある。

2011年11月1日火曜日

ホソバノヤマハハコ

<2011南阿蘇外輪山で見た植物_7>
ホソバノヤマハハコ Anaphalis margaritacea (L.) Benth. et Hook.f. subsp. japonica (Miq.) Kitam.
(キク科 ASTERACEAE)
“ハハコ”とつくけど、ハハコグサとは少しちがうグループ、ヤマハハコ属の植物。あまり高くならず、葉のはばは5mm程度。全体に薄く綿毛があり、可憐な感じがする。頭花は球形で、先からのぞくと黄色の花が見える。

2011年10月22日土曜日

ウメバチソウ

 <2011南阿蘇外輪山で見た植物_6>
ウメバチソウ Parnassia palustris L. var. palustris
(ユキノシタ科 SAXIFRAGACEAE)
ウメバチソウの花
 日当りよくやや湿った場所を好むウメバチソウ。草のかげから長い茎をのばし、その先にひとつだけ花を咲かせる。花びらは5枚。花のまん中にめしべ、そのまわりにうすい黄色の葯(やく:花粉のふくろ)をつけたおしべがある。おしべの長さが違うものが2本ほどある。おしべが成熟する時期がちがうのだろうか。


 写真をよく見るとさらに細いひげのようなものが・・・これは仮雄蕊(かゆうずい)や仮おしべとよばれるもの。おしべが花粉を作るはたらきをなくしたもの、と考えればいいか。では、何をしているのか。飾り?蜜?ウメバチソウは虫によって花粉を運んでもらうようなので、やはり虫を呼ぶ働きをしているのかもしれない。


 ウメバチソウの「ウメバチ」ってなに? 多分、花の形が梅のようで、家紋(かもん:家のシンボルマーク)の梅鉢紋(うめばちもん)に似てることからきているらしい。
  (参考)「家紋辞典と家紋データ(梅 うめ)
       http://www.otomiya.com/kamon/plant/ume.htm

 家紋の画像を見てみると確かに似ている。梅の花に似ている植物の名前に「ウメ〜」とか「バイカ(梅花)〜」ではなく、家紋をもってくるあたりが粋だねぇ。ちなみに、私のうちの家紋は「丸に梅鉢」。だから、ウメバチソウにはちょっと親近感がある。

2011年10月21日金曜日

センブリ

<2011南阿蘇外輪山で見た植物_4>
センブリ Swertia japonica (Schult.) Makino
(リンドウ科 GENTIANACEAE)
センブリの花
 足もとに小さく咲くセンブリの花。高さもせいぜい10cm程度。とても苦い植物で、「千回振り出してもまだ苦い」ので「千振り(センブリ)」の名がついたらしい。「振り出す」の意味が分かんないけど。この苦みが胃にきく、ということで薬としてもつかわれる。


 阿蘇ではこのセンブリを摘むのが季節の行事だったそうで、季節のものの収穫であると同時に、貴重な現金収入になったらしい。阿蘇の人々の生活や文化と関わってきた植物なんだなぁ。


 日当りよく乾いた環境に生え、阿蘇に特有という訳ではないけれど、阿蘇の特徴である草原を好む植物。

2011年10月18日火曜日

ハバヤマボクチ

<2011南阿蘇外輪山で見た植物_4>
ハバヤマボクチ Synurus excelsus (Makino) Kitam.
(キク科 ASTERACEAE)
ハバヤマボクチの花。
 阿蘇では草原や外輪山の尾根あたりなど、明るいところにはえる背の高いキク科の植物。写真のハバヤマボクチは私と同じくらいの背丈だったので、高さ160〜170cmといったところか。

 花も大きく直径5cmくらいはあり、周りはごく細い毛でおおわれている。色はそれほど派手ではないが、茶色のような紫色のような風合いで、花の大きさと背の高さが相まってかなりのインパクトがある。

 「ハバヤマボクチ」とは聞いただけではよく意味の分からない名前だが、「ハバヤマ」は「葉場山(はばやま)」で阿蘇の草原のように草を利用する目的の山のこと、「ボクチ」は火打石や火起こし道具でできた火を最初に移し火種にするための「火口(ホクチ)」がなまったもの、と一般にいわれている。花のまわりの毛をあつめて火口につかったのだろうか。

2011年10月16日日曜日

マツムシソウ

<2011南阿蘇外輪山で見た植物_3>
マツムシソウ Scabiosa japonica Miq.
(マツムシソウ科 DIPSACACEAE)
マツムシソウの花。たくさんの花が集まっている。
 秋の阿蘇に咲くマツムシソウ。この日はタイミングが良かったらしく、お花畑になっていた。薄紫色の小さな花がたくさん集まってひとつの花のようになっている。花の集まりの外側にある花は写真のように花びらが長くのびている。これで花がより大きく、目立つようになる。花粉を運んでくれる虫を呼んでいるのかな?


 マツムシソウは何度も冬を越して成長し、最後に一回だけ花を咲かせ、種子を作ったら枯れてしまう「一回繁殖型(いっかいはんしょくがた)」という一生をすごす。だから、花が咲いているマツムシソウを持って帰っても枯れてしまうし、花を摘むだけでもマツムシソウにとっては生涯最後の一大イベントをつぶされることになる。山で見かけたら、大事に、やさしく見守ってあげてね。

2011年10月15日土曜日

アキグミ

<2011南阿蘇外輪山で見た植物_2>
アキグミ(グミ科)
Elaeagnus umbellata Thunb. var. umbellata
アキグミ。果実は小さく丸い。ややシブい。
 秋に実るからアキグミ。山などにかなり普通なグミの仲間。グミの仲間には、葉の裏がてらてらと光るものが多い。このテカリは葉の裏に魚の鱗のような毛が密生することで生じる。顕微鏡等でこの毛を見るととても美しい。が、知り合いの高校の先生から、この毛を見た子どもたちが「気持ち悪い」と叫んだこともある、という話を聞いた。そうかぁ・・・

2011年10月14日金曜日

ヤマボウシ

<2011南阿蘇外輪山で見た植物_1>
ヤマボウシ(ミズキ科)
Cornus kousa Buerger ex Hance subsp. kousa


ヤマボウシの果実。熟したものは甘い。


今回からしばらくは、阿蘇南外輪山の植物を紹介。


ヤマボウシ。ミズキ属の植物は、側脈が葉の先にあつまるように流れる特徴的な葉を持つ。ヤマボウシもそんな葉をつける。今は実が熟す季節で、写真のような果実がたくさんなっていた。真っ赤に熟して柔らかくなった果実は、食べられる。意外に甘みが強くびっくりした。中にはぬるぬるに覆われた、やや大きめの種子が入っている。ジャムとかできないかなぁ。


写真のように、ぽつんとついた果実。これがひとつに見えるけど、実はいくつかの果実が互いに引っ付いてできた“集合果”と呼ばれるもの。集まって甘くて大きな実にすることで大型の動物に食べさせ、より遠くへ運んでもらおうという作戦なのかな?


ヤマボウシの仲間として身近な植物には、街路樹や庭木等に植えられているハナミズキ(アメリカヤマボウシ)がある。こちらは集合果にならない。食べられるかどうかわからない。

2011年10月13日木曜日

白い花のツユクサ

白い花のツユクサ
Commelina communis L.
白い花を咲かせるシロバナツユクサ。昼の撮影のため、花は閉じかけてます。
ツユクサといえば青色、と思っていたけど白いのもあるのだな。なかなか清楚で綺麗だ。BGPlantsYList植物名検索で検察をしてみるとシロバナツユクサ Commelina communis L. f. albiflora Makinoというものがヒットする。学名に“f.”と入っているので、品種というランクに入れられていることが分かる。写真の白い花のツユクサはそのシロバナツユクサにあたるものなのかな。


普通の青いツユクサにまぎれて咲いていた。そういえば中学や高校で花の色の遺伝について問題を解いた記憶がある。ツユクサもテスト問題で出るような分かりやすい遺伝をするのだろうか。簡単な遺伝だとしても、白花の遺伝子頻度が結構低そう。「任意に交配するとして、次世代の白花の個体の出現頻度を計算せよ」みたいな問題になるか?



2011年9月27日火曜日

秋ですね。

萩の花

2011年9月23日金曜日

ツルボ

大学時代の研究室のボスが扱っていた。この季節になると大学の頃を思い出す。


2011年9月21日水曜日

どんぐり

かなり秋めいてきました。


2011年9月14日水曜日

赤米

水田のほんの一部に作付けされた赤い米。周りの稲よりもやや背が高い?
普段と違う道を通って帰宅中、赤い米を植え付けている区画を発見。あんまり需要がないからか、ほんの一部にしか植えられてない。それとも自家消費用?

稲の穂のアップ。細長いトゲのようなものは芒(のぎ)と呼ばれる。
遠くから見て目立つ赤色は、芒(のぎ)というトゲみたいなのの赤さなんだな。今普通に栽培されている稲ではこの芒はずいぶん退化しているようだ。

秋の水田は黄金色、なイメージだけど、色とりどりの稲が植えられてたら綺麗だろうなぁ。

2011年9月13日火曜日

イヌホタルイ

イヌホタルイ
Schoenoplectus juncoides (Roxb.) Palla


水田脇にある草を物色。シュンシュンした植物を発見。
水田脇に生えるイヌホタルイ。緑色の部分は茎。
水田のような湿地に生えるカヤツリグサ科のイヌホタルイ。写真は悪いですが、竹ヒゴのような緑の茎がたくさん出ている。では、葉はどこか。葉は茎の根元につつのかたちになっていてほとんど目立たない。茎で光合成をしてる訳。


花は?これ。
イヌホタルイの花。華美な花びらなどはない。
イヌホタルイは、花粉を風に運んでもらう風媒花。そのため、花びらや“がく”は虫を引き寄せるような華やかさはなく、トゲのようになって外からは全く目立たない。


イヌホタルイの花穂。三角で示したところはめしべで先は二つに分かれている。
イヌホタルイの花は、魚のうろこのような「鱗片」の根元にひとつずつあり、それがたくさん集まって花穂をつくっている。


イヌホタルイに近い仲間でホタルイというのがあるが、それとの見分けはめしべを使う。上の写真のように先が二つに分かれためしべがあるとイヌホタルイ。先が三つに分かれている場合はホタルイ。

2011年9月11日日曜日

ヤブムラサキ

ヤブムラサキ
Callicarpa mollis Siebold et Zucc.


六月に咲くヤブムラサキの花。


ムラサキシキブの仲間。葉や小枝にはたくさんの毛が生えていて触るととても気持ちいい。


もう実がなっている季節。確認しに行こう。

2011年9月8日木曜日

ウマノスズクサ

ウマノスズクサ
Aristolochia debilis Siebold et Zucc.


道ばたに何やら変な形の花。ウマノスズクサ。
 道を歩いていて、人家の生け垣に這い上がるつる草を見つけた。葉は角が丸い、細長い三角形と言った感じ。歯の根元が少しくぼむので細長いハート形といってもいいかも。でなんだか変な形の花が咲いている。
正面から見たウマノスズクサの花。
ぽかんと口を開けた感じ。色はシブい。
横から見たウマノスズクサの花。
花の根元の膨らんだ部分にハエなどの昆虫を誘い込み、花粉を付けて運ばせるそうだ。


このウマノスズクサは、アリストロキア酸という物質を生成する。この物質はいわば毒で、この毒で昆虫などに食べられないように守っている。でも、ジャコウアゲハというチョウの幼虫は、このウマノスズクサだけを食べる。「毒を食らわば皿まで」的にもりもり食べて、さらにはアリストロキア酸を体内に蓄積するそうだ。


その辺りの詳しい話は、生物たちの不思議な物語―化学生態学外論に詳しく載っている。なかなか面白い。

2011年9月7日水曜日

マルヒメツヤドロムシ?

マルヒメツヤドロムシ
Zaitzeviaria ovata (Nomura)
かなあ?
マルヒメツヤドロムシか?全身黄色っぽいぞ。


以前から採ってみたいと思っていたドロムシの仲間。採ったときの様子はごく簡単に別ブログに上げた。大きさは1mmをわずかに出るくらい。色は黄色っぽいやつと、黒っぽいやつがいて、形的にはおなじかなぁ。標本にして名前を調べてみた。が、自信がない・・・


まずは、ネット上の情報から絵合わせ。山陰のヒメドロムシ図鑑を参照。マルヒメツヤドロムシっぽい。


次に、やはりネットの情報だが、「矢作川水系のヒメドロムシ.吉富ほか.矢作川研究 (3): 95-116 (1999)」という文献。ネット上から探してきたんだけど、どっからだったか覚えていない・・・。この文献、最後のほうに絵入りの検索表が載っている(わかりやすい!!)。それによるとやはりマルヒメツヤドロムシに落ちるのだが、説明に「胸は黒く普通、体は黄色、体も胸と同様に黒色になる個体もいる」とある。いや、上のやつ、全身黄色っぽいんですけど・・・


マルヒメツヤドロムシ?これは全身黒。脚は赤っぽいんだな。

最後に使ったのは、保育社の原色日本甲虫図鑑 (3) (保育社の原色図鑑 (70))。たぶん3だった気がする。そしたら、「間室」なる意味不明の言葉が・・・調べてみると養老孟司先生が日経ビジネスのページで書いてくださってた(タケシくん虫日記)。やっぱりマルヒメツヤドロムシかなぁ・・ただ、分布が本州・四国になってる。


福岡県のヒメドロムシ.緒方・中島.ホシザキグリーン財団研究報告 第9号: 227 243頁,2006年3月では出てきているので、九州にいない訳ではないらしい。


こいつ、おもろいな。ちょっとあちこちさがしてみよう。

キノコの季節かなぁ

キノコが出てました。イグチの仲間かな?


2011年9月5日月曜日

秋っぽくなってきた

涼しくなってきて、草花も秋めいてきた。


2011年9月3日土曜日

ツクツクボウシタケ

ツクツクボウシタケ(ツクツクホウシセミタケ)
Cordyceps sinclairii Kobayasi


地面か伸びるツクツウボウシタケ。
このところ、こんなキノコによく出会う。地面を掘ってみると、意外に大きな根っこのようなものが。
ツクツウボウシタケの地下部。真っ白い菌糸に蝉の幼虫が包まれている。
真っ白なワタのような固まりだが、その中には蝉の幼虫が。いわゆる冬虫夏草。蝉の幼虫に菌が取り付き、キノコが出たんだな。まさにナウシカの世界だ。

2011年9月2日金曜日

ヤマカガシ

ヤマカガシ
Rhabdophis tigrinus (Boie, 1826)


威嚇するヤマカガシ
ため池の近くを歩いていたら足下にいた。最近気がついたら足下に、というのが多い。ちょっとまずいかも。きをつけよう。でも、このカラーリング野外でであうとちょっとビビる。赤と黒の組み合わせは警戒色なんだろうか?


カエルなんかが好きらしいので、ため池近くに餌を採りにきてたのかも。そこを脅かされたのでおこっている。首の辺りが横に広がっているでしょ?(下の写真)
首の部分を広げ、威嚇するヤマカガシ
いやはや、脅かして悪かったね。



2011年9月1日木曜日

アレチハナガサ

アレチハナガサ
Verbena brasiliensis Vell.


河川敷にさくアレチハナガサ


最近そこかしこに増えている外来種。葉や茎は濃い緑色、花穂はやや茶色がかっていて遠くから見るとあんまり綺麗じゃない。でも、近寄ってみると直径数ミリ、薄紫の可憐な花が咲いている。


学名Verbena brasiliensisを読んでみると「バーベナ・ブラジリエンシス」、「ブラジル生まれのバーベナ」といった意味かな。園芸でも扱われるバーベナ(ヴァーベナ)の仲間で、南アメリカ原産の植物。遠いとこから、よう来たなぁ。

2011年8月31日水曜日

ヤマホトトギス

ヤマホトトギス
Tricyrtis macropoda Miq.


ヤマホトトギス。南阿蘇国民休暇村野草園にて
ちょっと貧弱だけど頑張って一輪咲かせていた。ホトトギスは独特の雰囲気。こんな斑紋あったら普通は気持ち悪いと思われそうなのに、そんなことないなぁ。


むかーし読んだ山菜の本にはホトトギスが食べられると書いてあったがホントかな?

2011年8月30日火曜日

マヤラン

マヤラン
Cymbidium macrorhizon Lindl.


マヤラン。南阿蘇国民休暇村野草園にて
マヤランなるものを教えてもらった。葉はなく、色も白っぽい。自分では光合成できない腐生植物だそうだ。周りがせっせと光合成している中で、他とは違う生きる道を巧く見つけ出して、したたかに生きる姿は感動するなぁ。見習いたいもんだ。


何の仲間か。学名にCymbidium(シュンラン属)とあるように、園芸でも人気のあるシュンラン(以前のシュンランの記事参照)の仲間。で、この属名Cymbidiumを読んでみると「シンビジウム」、つまりはシンビジウムと呼ばれて売られているランもこのシュンランの仲間。


シュンラン属は、花の美しい種類が多いんだろうな。

2011年8月25日木曜日

キイロオオシワアリ

キイロオオシワアリ
Tetramorium nipponense



多分、キイロオオシワアリで良いと思う。でも、日本産アリ類画像データベースの写真とくらべるとちょっと赤みが強いなぁ。撮影時の設定かも知んない。


ビーティングという方法で低木の葉や枝の上にいたものを採集した。背中や頭のしわと、腹部のツヤがすてき。すねの膨らみもちょっと艶っぽい。


ちょっとアリにはまりつつある今日この頃。

2011年8月24日水曜日

シュレーゲルアオガエル

シュレーゲルアオガエル
Rhacophorus schlegelii (Günther, 1858)


山を歩いていたら、木の葉の上にじっとうずくまるカエルの姿が・・・
ちょっと高くて写真も撮れないので、申し訳ないが落ちてもらった。


全身緑色、模様もない。目の周りの黄色が目立つ。
やや大きい、4センチメートルくらいはあったかな。アマガエルよりは明らかに大きい。


カエルはあんまりマジマジ見たことないので自身はないが、多分シュレーゲルアオガエル。
泡アワをつくってその中に卵を産むカエルね。アワをつくって卵を産むカエルには、あとモリアオガエルがいるけど、そちらは模様があったり、大きかったりするらしい。
逃げるタイミングをうかがうシュレーゲルアオガエル
来年の春に泡アワを探しに行こうか。

2011年8月23日火曜日

コンテリクラマゴケ

コンテリクラマゴケ
Selaginella uncinata (Desv.) Spring


和名の最後に“ゴケ”とついてるけども、コケではなく、シダの仲間。
イワヒバ科というグループ。


地面を這うようにはえている。
地面に生えるコンテリクラマゴケ


では“コンテリ”は?
紺色の照りがある、という意味。
緑色の植物ですが、
緑色のコンテリクラマゴケ


ちょっと角度を変えると・・・紺色っぽく光を反射します。
微妙に角度を変えると青みがかった光を反射する


なんでかな?
構造色?